PolyLC社では、微量のタンパク質／ペプチドなどのサンプル前処理用として、新しいタイプの固相抽出型チップである、スマッシュ・チップ(SmashTip)とルース・チップ(LooseTip)を開発しました。ここで採用されている各種クロマトグラフィ用樹脂は、C-18、C-8、C-4、POROS^®、シリカ、親水クロマトグラフィ[Hydrophilic Interaction(HILIC／HPL)]、強陰イオン交換体、弱陰イオン交換体、強陽イオン交換体、弱陽イオン交換体、IMAC、Carbon(Hypercarb^®)、SDS除去、その他などです。

スマッシュ・チップは、20〜30µm粒径の各種クロマトグラフィ用樹脂が、チップの先端に詰めて潰され、通液できる穴は1〜2µm孔径になっています。この構造ですと、フィルター無しで目詰まりも無く、接着剤やポリマーで樹脂の固定化もしていないので、これら接着剤などによるサンプルへのコンタミネーションもありません。そして樹脂の表面積が最大限に確保されていますので、サンプルの浸透性も問題ありません。例えばC18樹脂が充填されたスマッシュ・チップは、1〜10µlと10〜200µl用チップサイズの二種類があり、それぞれ0.1〜10µlサンプル溶液量(0.2〜0.4µgペプチド吸着量)と、10〜200µlサンプル溶液量(1〜2µgペプチド吸着量)をもっています。

ルース・チップはスマッシュ・チップと比較しますと、100倍以上のサンプル吸着量が得られます。例えばC18樹脂が充填されたルース・チップは、1〜10µlと10〜200µl用チップサイズの二種類があり、それぞれ1〜10µlサンプル溶液量(200µgペプチド吸着量)と、10〜200µlサンプル溶液量(1mg ペプチド吸着量)をもっています。このルース・チップの先端は潰されており、そこに 1〜2µm 孔径の通液できる穴が開けられています。そしてこのユニークなチップの中に、20〜30µm粒径の各種クロマトグラフィ用樹脂が、ゆるい状態で封入されており、フィルター無しで目詰まりも無く、接着剤やポリマーで樹脂の固定化もしていないので、これら接着剤などによるサンプルへのコンタミネーションもありません。そして樹脂の表面積が最大限に確保されていますので、サンプルの浸透性も問題ありません。ただし、封入された樹脂を押さえておくフィルターもありませんので、サンプル溶液及び洗浄／溶出バッファー等は、別の通常ピペットチップを使用して、ルース・チップの上から負荷しなくてはならず、チップの先端から吸引することはできません。

写真2.ルース・チップ