ポリスルフォエチルATM (PolySULFOETHYL AspartamideTM) |
シリカ系強陽イオン交換体HPLCカラム(ペプチド)
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ポリスルフォエチルA(PolySULFOETHYL A)カラムは、ポリエルシー社によって開発されたペプチド分離用の強陽イオン交換体クロマトグラフィ担体です。通常、ペプチドはpH2.7〜3.0の溶媒中では(-)の電荷を失うので、総体的に(+)の電荷を帯びます。この状態でサンプルをポリスルフォエチルAカラムなどの強陽イオン交換体力ラムに負荷すると、総てのペプチドが担体に吸着して保持されます。この後、塩濃度を上げていく勾配でグラジエントをかけると、アミノ酸配列中の塩基の絶対数が少ない順からペプチドが溶出してきます。 このユニークなポリスルフォエチルAカラムの ペプチド分離モードは、逆相分配クロマトグラフィの相補的分離モードとなり、両方の分離モードを組み合わせて利用すると、ほとんど総ての種類のペプチド粗分画サンプルが完全に分離することができます。 またこのポリスルフォエチルAカラムは強陽イオン交換体ですので、通常は逆相HPLCカラムの数倍のサンプル吸着量があります。 |
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従来の強陽イオン交換体HPLCカラムはスルホプロピル(SP)グループや芳香族スルホン酸塩グループを修飾官能基として使用していますが、疎水的相互作用が、スルホエチル(Sulfoethyl)グループよりも強いので、ペプチドがカラムより塩濃度のグラジエントで溶出される際、その保持時間は長くなります。 このことにより、従来のカラムでは疎水ペプチドなどの回収率や分離能が不十分でしたが、ポリスルフォエチルAカラムは高回収率/高分離能で定量分析を可能にしました。 またポリスルフォエチルAカラムは、時には同等の電荷をもったペプチドでも、全体的構造の違いによって分離することができます。これは親水クロマトグラフィとのミックス・クロマトグラフィ分離モードやアミノ酸配列と、そのペプチドの三次元構造などの影響と考えられます。 これらのペプチド間の分離能は移動相溶媒に有機溶媒を混入する比率などによって調整します。ポリスルフォエチルAカラムは、移動相溶媒中に高濃度の有機溶媒を使用することによって、親水クロマトグラフィ分離モードとしても利用できます。このことにより、ペプチドの電荷と親水性(または疎水性)を利用したミックス・クロマトグラフィ分離モードが可能となりました(図13.II.参照)。 |
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